2022年10月3日月曜日

香陵30年から香椎潟1300年へ

【一期一会1】この香陵校区は平成4年(1992年)に発足して、今年は令和4年(2022年)でちょうど31年目になります。ひとつの世代は30年と言われていますので、香陵校区も次の世代にバトンタッチする時期に来ています。そのような環境の中で、 今年4月に公民館長として勤務し始めました。香陵の良さをどのように引き出していくか、地域の人に親しまれる公民館にするにはどうしたらいいかを考えて来た半年でもありました。

その半年間で特に印象に残ったことは、香陵小学校5年の総合的な学習の時間に「香陵校区の歴史」について話したことです。学校の先生ではないので、子供たちの前できちんと話した経験はないのに、依頼を受けたときは二つ返事で「はい」と回答をしてしまいました。歴史に興味をもっていることは確かだし、この機会に自分自身の勉強の場にしようと思ったからです。

とりあえず、インターネットで検索すれば、近隣校区の名島や香椎であれば、興味ある歴史に次々とヒットします。しかし、最初に述べたように30年の歴史しかない「香陵」では、なかなか歴史的建造物や物語には出会いません。でも、我々の「香陵」は学校通学区分にしか過ぎず、生活圏としては、香椎や名島などの東区香椎エリアになり、そのエリアで歴史を考えて行く方が夢が広がります。

すると、とても良いキーワードが出てきました。それは万葉集にも歌われている「香椎潟」という言葉です。大昔の香椎潟という海に、現在の香陵の丘がそびえています。そこで今回の総合的な学習のテーマは、今は地名では残っていない”香椎潟の歴史”として話を組みたてました。
万葉歌碑:香椎宮末社の頓宮にて(明治21年建立)
神亀5年(728年)太宰卿 大伴旅人が香椎廟参詣の際に
下記の歌を詠んだ この歌碑のそばまで香椎潟は迫っていた

いざ子ども 香椎の潟に 白妙の袖さえぬれて 
      朝菜摘みてむ(万葉集:大伴旅人)
〈意訳〉さあ みんなで、香椎潟で服の袖までぬらして朝ごはんの海草や海苔を集めよう!

香椎参道の勅使道踏切の横に丘陵地(香椎宮末社:頓宮)に歌碑があります。この踏切近くまで海が迫っていたなんて不思議な気がしますね。1300年前の奈良時代から、我々の香陵の地は「香椎潟」として存在をしていました。

6月29日(水)の香陵小学校5年の総合的な学習「香陵の歴史」は子供たちには好評でした。また自分も勉強になりました。終了後は5年生全員約70人の子供たちから感謝のメッセージ集を贈呈してもらいました。これからも、香陵で生活する子供たちや大人にも溌溂とした笑顔を浮かべられるような事業やメッセージを発信していきたいと思います。


巻頭の「一期一会」とは生涯にただ一度会うかどうかわからぬ
ほどの縁であり、出会いを大切にすることのたとえで、
「一期」は、仏教のことばで一生のこと。